The Golden Age
黄金時代

本書は、一八九五年に出版されたケネス・グレアムの短編集『黄金時代』The Golden Ageの全訳に、作品の解題、訳註、年譜を加えて構成されています。
『黄金時代』の短編は、「序章 おとなはみんなオリンピアン」が一八九一年に発表され、その好評を受けて、雑誌に掲載された十七編(一八九三年六編、九四年七編、九五年四編)を集めたものです。雑誌の読者はおとなであり、フィクションなのですが、語り手「ぼく」が、兄姉妹弟の真ん中のこどもに設定されており、日々の暮らしや遊びや冒険を通して、見たこと、感じたことを率直に語っていますので、グレアムの自伝に近い作品として読むことができます。グレアムが描いた子どもの本音トークの物語は、ヴィクトリア朝末期のベストセラーになりました。
当時、グレアムは三十歳代で、イングランド銀行に勤務していましたが、余暇に作品を書き始め、バークシャー州クッカム・ディーンの祖母の元で送った自身の幼年時代へと退行してこうした短編を書き綴ることで、独自の世界を構築していったと思われます。


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