「鏡」としての透谷

透谷という「鏡」に映じた自分の姿を見つめる人々を見つめ直すこと、それが本書の目的である。───(序章)

ひとたび「海の洗礼を受け」る==国境線を意識することで自己相対化が開始されてしまえば、いわば〈国家〉や〈近代〉というものの輪郭を意識しそれを懐疑した刹那、無限の自己相対化という否定を伴う〈心の革命〉が始動する。───(第八章)

 

序 章───「鏡」という技術
第Ⅰ部◆表象の体系としてのアンソロジー
第一章───明治三五年版『透谷全集』─その「商品」性と流通ネットワーク
第二章───明治三〇年代後半、〈文学〉化されゆく手紙─「透谷子漫録摘集」を起点として
第三章───成型される透谷表象─明治後期、〈ヱルテリズム〉の編成とその磁場
第四章───透谷を〈想起〉するということ─昭和二年、『現代日本文学全集』刊行をめぐって
第Ⅱ部◆日本浪曼派と〈透谷〉
第五章───中河與一の〈初期偶然論〉における必然論的側面─小説「数式の這入つた恋愛詩」の分析を通して
第六章───戦時下日本浪曼派言説の横顔─中河與一の〈永遠思想〉、変奏される〈リアリズム〉
第七章───彷徨える〈青年〉的身体とロゴス─三木清〈ヒューマニズム論〉における伝統と近代
第八章───〈偉大な敗北〉の系譜─透谷・藤村・保田與重郎


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

*