鏡花水月抄
「お千は社会ではもっとも賤しめられている女性です。だけど宗吉にとってはやさしいお姉さんであり、慈しみ深い母なんですね。ここでは聖と賤とが一致している」(『売色鴨南蛮』)。───世界のどこにも魔界を見出しえた作家泉鏡花の、名作『歌行燈』をはじめとするおびただしい数の作品について、多彩な引用を分析し、表現の機微を探りつつ、その文学における自然や都市、ひたむきに生きる女や男の姿を考察した論考・講演・エッセイの集成。

「お千は社会ではもっとも賤しめられている女性です。だけど宗吉にとってはやさしいお姉さんであり、慈しみ深い母なんですね。ここでは聖と賤とが一致している」(『売色鴨南蛮』)。───世界のどこにも魔界を見出しえた作家泉鏡花の、名作『歌行燈』をはじめとするおびただしい数の作品について、多彩な引用を分析し、表現の機微を探りつつ、その文学における自然や都市、ひたむきに生きる女や男の姿を考察した論考・講演・エッセイの集成。