武家の文物と 源氏物語絵

家康は自身の所蔵品を、駿河御分物として徳川三家に譲り渡した。尾張徳川家はこれをほぼ元のまま保ち、徳川美術館・蓬左文庫に伝えている。その所蔵品は、「源氏長者」家康の文化政策を知るうえで貴重な手掛かりを提供している。徳川美術館・蓬左文庫は、国宝の刀剣などの武具甲冑のみならず、金沢文庫本『続日本紀』(重要文化財)、『源氏物語絵巻』(国宝)・河内本『源氏物語』(重要文化財)・「初音の調度」(国宝)などを、駿河御分物と歴代尾張藩主および藩主夫人の文物として所蔵している。これらの文物が武家に伝えられていることは、王朝文化を近世の武家が受け継ぎ、みずから政策に取り込んでいたことを示している。本書は徳川美術館・蓬左文庫の所蔵品を起点に、それら文物自体の研究とともに、これに連なる文化の受容、再構成のありかたを視野に収めた。また、愛知県立大学所蔵の絵画資料の紹介も含んでいる。


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