女性表象とフェミニズム

女性たちは何を書いてきたのか

階級、ジェンダー、セクシュアリティなどの視座から、女性文学の多様な側面に切り込む。宮本百合子を中心に、大塚楠緒子、野上彌生子、平塚らいてう、岡本かの子、林芙美子、石牟礼道子、向田邦子、角田光代らの作品を幅広く取り上げ、一世紀にわたる女性文学の内実を解き明かす、フェミニズム批評の実践。

       Ⅰ
一 フェミニズム批評

第1章 女と言説ディスクール
第2章 フェミニズム批評の有効性
第3章 フェミニズム批評・ジェンダー批評・ケアの倫理
第4章 女性文学史の新たな構築をめざして—『【新編】日本女性文学全集』全一二巻完結
       Ⅱ
二 宮本百合子とセクシュアリティ

第5章 百合子とセクシュアリティ—レズビアン表象の揺らぎ
第6章 『伸子』の素子—レズビアニズムの〈変態〉カテゴリー化に抗して
第7章 『乳房』—ジェンダー・セクシュアリティの表象
第8章 鼎談 愛と生存のかたち—湯浅芳子と百合子の場合(黒澤亜里子・沢部ひとみ・岩淵宏子)
三 宮本百合子と反戦・平和
第9章 『杉垣』にみる反戦表現—国策にあらがう〈居据り組〉夫婦
第10章 『築地河岸』『二人いるとき』—既婚女性と反戦
第11章 『鏡の中の月』『雪の後』『播州平野』をめぐって—戦争ファシズムと女性
第12章 占領下の百合子—民主化・女性の独立・反戦平和をめざして
四 宮本百合子の世界と表現方法
第13章 百合子と日本女子大学校
第14章 『伸子』—研究の変遷と今日的争点
第15章 『伸子』にみるスペイン風邪と恋—パンデミックと文学
第16章 『未開な風景』—テーマ・創作方法をめぐって
第17章 宮本百合子と佐多稲子—表現方法の差異と多様性
       Ⅲ
五 女性表象の変容

第18章 女性による樋口一葉論—三宅花圃・田辺夏子・与謝野晶子・平塚らいてう・田村俊子・長谷川時雨
第19章 大塚楠緒子『空薫』『そら炷 続編』—反家庭小説の試み
第20章 野上彌生子『噂』—揺れる家庭
第21章 求愛の表現—樋口一葉・田村俊子・宮本百合子・山田詠美
第22章 戦時下の「母性」幻想—総力戦体制の要
第23章 角田光代『八日目の蟬』にみる母と娘—母性幻想の終焉
六 フェミニズムとセクシュアリティ
第24章 『青鞜』におけるセクシュアリティの政治学への挑戦—貞操・堕胎・廃娼論争
第25章 平塚らいてうと成瀬仁蔵—『青鞜』と日本女子大学校
第26章 平塚らいてう—出発とその軌跡
第27章 田村俊子宛鈴木悦書簡をめぐって
第28章 林芙美子『ボルネオ ダイヤ』『牛肉』『骨』—売春婦たちの〈掟〉
第29章 林芙美子『晩菊』—〈老い〉とセクシュアリティ
七 社会とジェンダー
第30章 岡本かの子『生々流轉』—乞食の意味
第31章 石牟礼道子の世界—表象としての〈水俣病〉
第32章 三浦綾子『細川ガラシャ夫人』—宗教的女性像
第33章 向田邦子のまなざし—『お辞儀』『スグミル種』『はめ殺し窓』を読む


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