佐多稲子

プロレタリア作家として、階級格差の原因に気づいた佐多稲子は、同時に男女差別の因ってきたる構造にも目覚めていったのではないか。「くれない」の佐多稲子はこのようにして生まれた。この論集を編むことによって、その道筋が佐多の小説の行間から立ち上ってくるように思った。──────あとがきより

佐多稲子小伝─他者という鏡
Ⅰ 詩から小説へ
詩からの出発─仮面から素面へ
小説への転身
Ⅱ プロレタリア文学の中の女たち
「女工」もの五部作─走る、泣く、揺れる「女工」たち
「煙草工女」の語りの構造─母の顔と党員の妻の顔
「別れ」─乳を搾る女
Ⅲ 戦争前夜の模索
「牡丹のある家」の位置─「くれない」につながる転換点
「樹々新緑」─目覚めと苦悩
「くれない」─政治、生活、文学の転機
Ⅳ 戦後日本の時空間
敗戦直後の評論活動─使命感とともに
「みどりの並木道」─空虚な明るさ
「夜の記憶」─二つの夜の明暗
「渓流」(一)─ある女系家族の終焉
「渓流」(二)─〈わが家〉はなぜ失われたのか
「黄色い煙」と「ばあんばあん」─時事問題の取り込み
Ⅴ 同時代の女性作家
若杉鳥子(一)─階級格差と男女格差
若杉鳥子(二)─闊達な女語りの魅力
壺井栄「廊下」─逆境の下での夫婦愛
大谷藤子「須崎屋」─母子幻想の崩壊


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