新刊一覧

うつほ物語

子ども流離譚

富澤萌未[著]

A5判上製・296頁・6800円+税
ISBN978-4-87737-457-0(21・3)

最も古い長編の物語である『うつほ物語』
物語の周縁にあると思われてきた子どもたちの流離・受難から、物語全体の構造を捉え直す

◆第一章 
物語の始発──俊蔭の流離
◆第二章 
父に忘れられる子ども──仲忠の流離
◆第三章 
父子の密着と分離──忠こその流離
◆第四章 
父に忘れられる子ども──実忠・真砂子君と「巣」「巣守」「雛」
◆第五章 
親子関係における「恋ふ」「恋し」

第二部
子どもの位置付け──後半部における子
◆第一章 
いぬ宮の位置付け──産養から
◆第二章 
いぬ宮の位置付け──いぬ宮と母女一の宮
◆第三章 
子どもを「抱く」「膝に据う」
◆第四章 
『うつほ物語』全編における子──第一部・第二部のまとめ

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尾崎紅葉事典

山田有策・谷喜美枝・宇佐美毅・市川紘美・大屋幸世[編]

A5判上製・448頁・12000円+税
ISBN978-4-87737-455-6(20・10)

時代を賑わせた『金色夜叉』への熱狂 
近代文学誕生前夜を率いた
明治の大作家の軌跡をたどる

かつて近代文学史のテキストに〈紅露逍鷗〉という用語がしばしば登場していた。
確かに明治二〇年代初頭から明治三〇年代後半に到る時代は日本の文学や文化が近代的に整備されていく過程での混沌そのものだった。
誰もが〈近代〉を求めて、その幻影を実体化すべく悪戦苦闘せざるを得なかった。
〈紅露逍鷗〉とて例外ではなく、それぞれ、もがき苦しみ、挫折や中断を余儀なくされたのである。
その中でも最も苦闘し、ついには中途で生そのものをも犠牲にせざるを得なかったのが尾崎紅葉であった。
この紅葉の悲劇は後の文学的評価となって文学史に定着することとなった。
紅葉が短い生涯の中で情熱を傾けたさまざまな文学的行為は、逆に現代においてこそその可能性を輝かせるのではないか。
──────「はじめに」より

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詩人・木下夕爾

九里順子・Kunori Junko[著]

A5判上製・350頁・3800円+税
ISBN978-4-87737-456-3(20・7)

詩人・木下夕爾は、詩と俳句を手放さずに生きた。

東京・御幸村・広島/戦前・戦後、その先へ。
夕爾が遺した一筋の光を辿る。

木下夕爾(きのした・ゆうじ)
大正3(1914)年、現在の福山市御幸町に生まれる。『若草』の投稿家として注目され早稲田高等学院に学ぶが、家業の薬局を継ぐために名古屋薬学専門学校に転じ、昭和13(1938)年帰郷。昭和15(1940)年、第6回「文芸汎論詩集賞」受賞。詩集に『田舎の食卓』(昭14)『生れた家』(昭15)『昔の歌』(昭21)『晩夏』(昭24)『児童詩集』(昭30)『笛を吹くひと』(昭33)、句集に『遠雷』(昭和34)がある。同人詩誌『木靴』句誌『春雷』を主宰する。昭和40(1965)年8月4日逝去。絶筆は「長い不在」(『中國新聞』昭40・8・5)。

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利根川 場所の記憶

日高昭二[著]

A5判上製・504頁・5600円+税
ISBN978-4-87737-454-9(20・7)

多くの紀行、絵画、詩、歌、物語をはぐくんだ利根川
江戸の始めから、明治・大正・昭和へとつづく河川改修工事の歴史とともに流れる利根川にはさまざまな場所の記憶が刻まれている。

 

第一章──利根川を往く——紀行の時代
第二章──物語を紡ぐ川——源流から河口まで
第三章──支流の物語——片品川、渡良瀬川、巴波川、思川、鬼怒川、小貝川
第四章──田山花袋と利根川
第五章──川の流れ、時の流れ——足尾銅山鉱毒問題
第六章──アウトローたちの流域——相撲と俠客

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龍之介の芭蕉・龍之介の子規

伊藤一郎[著]

A5判上製・307頁・4800円+税
ISBN978-4-87737-451-8(20・5)

芥川龍之介における芭蕉、そして正岡子規の受容、ならびに久米正雄との関係を論ずる。
新傾向俳句運動と連動した〈六朝書体〉について考察する。

第一部────── 
芥川龍之介における芭蕉受容
第一章 あこがれと孤独─龍之介「枯野抄」の成立考
第二章 芥川と芭蕉─「芭蕉雑記」を中心にして
第二部──────
芥川龍之介における子規受容
第三章 芥川の「芭蕉雑記」と正岡子規
第四章 子規を読む芥川龍之介
第五章 芥川龍之介の詩歌─子規の余韻
第三部──────
芥川龍之介と久米正雄の交流
第六章 久米正雄と芥川龍之介の青春
第七章 芥川我鬼と久米三汀
第四部──────
芥川龍之介の〈六朝書体〉
第八章 芥川龍之介の〈六朝書体〉
第九章 ヴァリエーションとしての〈六朝書体〉
資料編
芥川俳句をめぐる人びと
〔一〕 遠藤古原草句集『空を見ぬ日』
影印・翻刻および解題・古原草略伝
〔二〕 佐佐木茂索書簡 
翻刻・注釈および解題
〔三〕 小澤碧童書簡 
翻刻・注釈および解題
〔四〕 小澤碧童追悼短冊集 
影印・翻刻および解題

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漱石深読 そうせきしんどく

小森陽一[著]

4/6判並製・312頁・2400円+税
ISBN978-4-87737-447-1(20・4)

『こゝろ』をめぐる論争の当事者が
夏目漱石の代表作を冒頭分析で論じる

夏目漱石の長篇小説の多くは、新聞連載小説であった。きわめて厳しい言論統制と権力による情報弾圧の中で、最も広い読者層に言葉を渡すことの出来る、新聞小説という領域において、漱石夏目金之助が、どのような言語的文学的実践をしたのかを、今の時代において読者のみなさんとの有効な共通体験としたいというのが本書の願いである。  
「あとがき」より

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源氏物語の表現と儀礼

池田節子[著]

A5判上製・312頁・7400円+税
ISBN978-4-87737-453-2(20・4)

『源氏物語』の作中人物は、どのように考え、話し、行動しているのか。
人生儀礼、出産、衣装、食はどのように描かれているのか。
『源氏物語』の表現を丹念に追いつつ、他の平安時代の作品とも比較して考察する。

Ⅰ───『源氏物語』の表現 
第一章 『源氏物語』の心中表現
「御心の中」「心の中」表現を中心に
第二章 『源氏物語』の会話文(一)
会話文の文末表現を中心に
第三章 『源氏物語』の会話文(二)
敬意の高い敬語の使用から
第四章 男性たちの歌に含まれる男性語
頭中将と紅梅親子の歌を中心に
第五章 葵の上の出産場面と出産描写史
第六章 『源氏物語』における母の存在感
「母」呼称を中心に
第七章 『源氏物語』第二部の服飾
衣装の色および「あざやか」の意味するもの
第八章 平安文学における食表現
『源氏物語』と『宇津保物語』を中心に

Ⅱ───『源氏物語』の人生儀礼
第一章 『源氏物語』の生誕儀礼
産養を中心に
第二章 物語史における元服と裳着
『源氏物語』と『狭衣物語』を中心に
第三章 『源氏物語』の算賀
光源氏四十賀と朱雀院五十賀の相違を中心に

Ⅲ───『源氏物語』を読み解く
第一章 「よしや。命だに」の解釈
光源氏と葵の上、そして紫の上との関係
第二章 光源氏と花散里の対面場面
第三章 息子の死を悲しむ父
柏木と致仕の大臣
第四章 紫の上の臨終場面
第五章 花心におはする宮
第六章 『蜻蛉日記』の夢

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