漱石・明治・京都
今時、これほどに格調高く高雅な文体を書かれる方がどれほどおられるだろうか。私のような凡俗にはこの原稿を評するなど畏れ多く、ただ恐縮するばかりだ。襟を正したくなるほど美しい、得難い文章である。漱石好きには必読の書であろう。まことに有難い。
夏目房之介
Ⅰ
杜甫の愚直 漱石の拙
『彼岸過迄』の「雨の降る日」に─西田幾多郎と漱石
浄林の釜─子規・愚庵・漱石
『虞美人草』の頃─西園寺首相をソデにした漱石
色ということ、空ということ
ロンドンの漱石本
片付かない京都
「明暗」のお延と清子
悪妻あっぱれ─夏目鏡子と新島八重
谷崎潤一郎の漱石批判
厠の陰翳と羊羹の色
輝ける若葉 一条美子の君
Ⅱ
夏目漱石「京に着ける夕」論
─寄席・落語に始まった子規との交友
Ⅲ
「心」によせる茶会
茶道が結ぶ日本とハワイの絆
二つのメモリアル
普請の思い出
ドラという名の日本猫
落ち椿
私の京都新聞評
漱石句碑の縁
「空」を重んじる思想
養壽庵の軸を床に掛ける