わたしと世界を象ることば
戦時下となる昭和一〇年代。文学者はどのように人間、そして世界を描いたのか。
変動する時代状況と石川淳・太宰治・坂口安吾たちの文学世界との結接点をさぐる
序章 昭和一〇年代の幕開け
第一部
昭和一〇年、石川淳の登場と初期作品
第一章 多重化する〈わたし〉の試み──石川淳「佳人」
第二章 下層民を描く位置──石川淳「貧窮問答」
第三章 漂泊の強度──石川淳「葦手」
第四章 芥川龍之介の影を追う──石川淳「普賢」と安吾・太宰
第二部
戦時下の石川淳・太宰治・坂口安吾
第五章 再生の季節と作家──太宰治「富嶽百景」
第六章 グロテスクな愛の射程──坂口安吾「芝大納言」
第七章 〈歴史と文学〉のなかで──石川淳『森鴎外』
第八章 オルタナティブな歴史の語り方──太宰治『右大臣実朝』
終章 焼け跡からの出発──石川淳「焼け跡のイエス」