「死」の文学、「死者」の書法
椎名麟三と大岡昇平それぞれの文学テクストにおける「死」および「死者」の表象を分析し、そのありようが「戦後」の文学にいかなる問題を提起し、あるいは可能性をもたらしたかを探る───。
序章 「戦後文学」の思考/志向
第一部
「死」の文学――椎名麟三論
第一章 「死」と「庶民」
――椎名麟三「深夜の酒宴」論
第二章 「死」と「危急」
――椎名麟三『赤い孤独者』論
第三章 回帰する「恐怖」
――椎名麟三『邂逅』論
第四章 「庶民」と「大衆」
――椎名麟三と映画
第五章 「自由」と表象
――椎名麟三『自由の彼方で』と『私の聖書物語』
第六章 「ほんとう」の分裂
――椎名麟三『美しい女』と「戦後」の文学
第二部
「死者」の書法――大岡昇平論
第七章 大岡昇平とスタンダール
――ベルクソン・ブハーリンを軸として
第八章 増殖する「真実」
――大岡昇平『俘虜記』論
第九章 「二十世紀」の「悲劇」
――大岡昇平『武蔵野夫人』論
第十章 「死者は生きている」
――大岡昇平『野火』論
第十一章 「亡霊」の「戦後」
――大岡昇平「ハムレット日記」論
第十二章 「死者」は遍在する
――大岡昇平と「戦後」
終章 「責任」と主体
――「戦争責任」論と椎名麟三・大岡昇平